「私は、とわの事も大事だから、武田くんと距離置いてもいいから、とわと桜庭くんの事とかもちゃんと話して、相談にのったりして、傍に居たかったの。でも、武田くんにしてみたら、私が とわと一緒に居たいのと、武田くんと距離置くのは、無関係な事に見えるでしょ? 話がどんどん拗れちゃって。しかも夏休み、部活忙しかったしね。
 で、色々相談して、昨日、友達に戻りました。以上、報告でした」

 若菜はそう言い終えると、パンっと手を叩いた。

「で、とわ、桜庭くんとどうなってるの? あの女《ひと》の事ちゃんと聞いた? 夏休み明けても仲良くしてるから、どうなってるのか、私も武田くんも心配だったんだけど。とりあえず、私、桜庭くんとの馴れ初めすら聞いてないから最初から教えて」

 若菜は、早口で一気に言い切ったけれど、申し訳なさでいっぱいだった。

「若菜、ごめんね」

 私のせいだ。私がちゃんと若菜と武田のこと応援できてなかったから。

「とわの事がなくても、きっとそんなに続かなかったよ。好きは好きなんだけど……どうしたらいいのかよく分かんなかったんだもん。
それより!桜庭くん!!やっと とわにいい人出来たのに、全然話聞いてなかったから!」

 その日は、放課後部活に行かずに、若菜と沢山話をした。

 上手に伝えようと、整理すれば整理するほど、友香さんの事だけはどこに置いたら良いのかわからなくて。その存在感は、私の中でずっしりと重みを増して行った。