私が休んでいた月曜日、練習試合を見に来ていた桜庭くんのファンの女の子達の話題は、私の事と試合後に桜庭くんを独占したあの女の子の事だったらしい。私について彼女達がなんて言っていたのか羽純は明言しなかったけれど、濁したのを考えるとあまりいい事では無かったのだろうと想像がついた。

「ひぃぃ、謎の美少女って何それぇ?!って思ってさ。月曜日、とわに会いに部活に行ったのに、来ないし。火曜日、教室行ったら、若ちゃんから月曜日から休んでるって言われてさ。若ちゃんも気にしてたから、メール送ろうか悩んだけど、詳細不明すぎて何送っていいのか分かんないし」

 どうやらあの2日間、私は羽純にも心配をかけていたらしい。

「修業式の日も、休み時間行ってもとわいないし。代わりに 毎回桜庭くんは見かけたけどね。私、1日であんなに桜庭くんとエンカウントしたの初めてだったよ」

 と、羽純はケラケラ笑った。体育でもなけりゃ大抵顔も見かけないのだと言う。確かに言われてみたら、隣のクラスの人を毎日全員見かける訳では無い。

「私、SHR終わってからも とわのとこ行ったんだけど、とわ 居なかったし。若ちゃんも何か男の子とずっと真剣な顔で話してて、話せなかったし。お腹すいたし帰っちゃったんだよねー。そっかー。桜庭くん1時間以上もまってたんだ」

 根負けしたね、と羽純はアイスコーヒーを一口飲んだ。