「件の女も東海林も幼なじみとな?」

 私の答えに羽純が片眉を上げる。

「……うん。そう 言われた」

 夏休み、きちんと書道部として部活があるのは4日間だけだった。

 でも、その4日間はサッカー部が合宿で居ない期間に含まれていて、学校に行ってもグラウンドにサッカー部の姿はない。サッカー部だけじゃなくて、運動部の多くが合宿や大会で学校にはいない。

 私の心境はというと、桜庭くんに会えなくて寂しいのと、上手く誤魔化されている気がして釈然としていないのと、武田と顔をあわせなくて良いからほっとするというのが同居していた。

 はっきり言ってしまうと、つい1か月前とは違いすぎて、自分では もはや何が何だか分からない状態になっていた。

 そんな状態での部活の帰り、駅の近くのコーヒーショップで羽純とお茶をしていた。最初の2日は夏期講習と重なっていて羽純は来なくて、3日目の今日、やっと会えた。あえて壁に面したカウンター席に座って、肩を寄せあって夏休み直前の出来事を小声で話す。