あぁ、こんなにお日様が照ってたら、帽子程度じゃ 大して意味無いよ。

 窓の外で照りつける日差しの強さを眺めながら、私は独りごちた。これから二時間近くも外に居ないといけないのに、日差しが凄い。

「とわ、付き合ってくれてありがと。とわ 来てくれなかったら、来る勇気なかった」

 若菜はそう言って持ってきた大きなクーラーバックを開ける。中はまだ空っぽだ。

「家庭科部の特権最大活用だね」

 ここ、調理室は若菜達 家庭科部の活動場所だ。

 フフフ、と笑って若菜は冷凍庫を開ける。

「じゃじゃーん。昨日部活の後に作ったんだよ」

 冷凍庫の中には、小さなプラスチックカップがぎっしりと詰められていた。

「……これ全員分?」

「うん。しょ……武田くんにだけ差し入れするのあれだし、それなら全員分って思って」

 ……今、若菜言い直した。

 普段 武田のこと、名前で呼んでるんだ。なんでそんな所に気づいちゃうんだろう私。

 痛い。

 前は武田の事を考えると、ドキドキしたけれど、今は……違う。ドキドキするとか、そう言うのじゃなくて、痛い。ただ痛い。痛くて、悲しい。

 土曜日。サッカー部がうちの学校のグラウンドで他校と練習試合をするのだと言う。