桜庭くんは普段は私に武田を思い出させることは言わないし、武田と若菜と時間をずらしたいと思っている私に合わせてしばらく書道室で時間を潰してくれる。時々勝手なことは言うけれど、あくまで私が応えられる範囲の事で、無理な事は言わない。そして、優しい。
これと言って目立って優しい事をしてくれているわけじゃない。だけど、なんだかさりげなく優しい。
桜庭くんは、いろんな噂は聞いたことがあったけれど、少なくとも私と話している時は、優しくて居心地のいい、噂で聞く桜庭くんとは、別人かと思う程に違う人なのだ。
「私には、とわも桜庭くんも楽しそうに見えたから、桜庭くん信じてもいいんじゃないかと思うけど。てか、とわ 好きな人 いるって話してなかった?」
「え……あ……うん。居たけど…………彼女できちゃったから……」
羽純は「あぁ、残念だったね」と眉を下げた。誰とは言っていなかったけれど、羽純にはずっと好きな人が居るとだけ、話していた。
「あーぁ、塾めんどくさいな」
「前、ほかの学校でかっこいい子いるって言ってなかった?」
「居たけど、こっちも彼女できたみたい。勉強だけじゃつまんない」
羽純が塾に遅刻するギリギリまで喋って、私が書道室に戻ると、既に他の部員達は帰る支度を始めたりしていた。
私は、道具を準備したものの全く書く気になれなくて、目の前の半紙には、謎のぐるぐる模様。書くものも決められずに悩んでたのが丸わかりだ。
だめだ。無理矢理でもなにか書こう。
これと言って目立って優しい事をしてくれているわけじゃない。だけど、なんだかさりげなく優しい。
桜庭くんは、いろんな噂は聞いたことがあったけれど、少なくとも私と話している時は、優しくて居心地のいい、噂で聞く桜庭くんとは、別人かと思う程に違う人なのだ。
「私には、とわも桜庭くんも楽しそうに見えたから、桜庭くん信じてもいいんじゃないかと思うけど。てか、とわ 好きな人 いるって話してなかった?」
「え……あ……うん。居たけど…………彼女できちゃったから……」
羽純は「あぁ、残念だったね」と眉を下げた。誰とは言っていなかったけれど、羽純にはずっと好きな人が居るとだけ、話していた。
「あーぁ、塾めんどくさいな」
「前、ほかの学校でかっこいい子いるって言ってなかった?」
「居たけど、こっちも彼女できたみたい。勉強だけじゃつまんない」
羽純が塾に遅刻するギリギリまで喋って、私が書道室に戻ると、既に他の部員達は帰る支度を始めたりしていた。
私は、道具を準備したものの全く書く気になれなくて、目の前の半紙には、謎のぐるぐる模様。書くものも決められずに悩んでたのが丸わかりだ。
だめだ。無理矢理でもなにか書こう。

