まさか人が居るなんて思ってなかった所に人がいて、しかも結構……。うん、自分で言うのもあれだけど、私は湊の膝に座って、湊の肩に頭をあずけて話していたし、今だって、湊は私の頭をしっかりと胸に抱きしめているわけなのだから。ちょっと……いや、相当イチャイチャしている図のような気がする。

 あぁ、すごく恥ずかしい。絶対に耳まで赤くなっているであろう顔を、とてもじゃないけれど上げられない。

「下校時刻過ぎてるから。早く帰りなさい」

 立ち上がった私達にため息混じりに言った瀧先生は、苦笑いして続けた。

「……まぁ、仲直りできたみたいだし。良かったな、二人とも」

 やっぱり、あれだけ色々言われていたら先生方にも私達の噂は届いていたのだろう。

 特に瀧先生は、文化祭の時に私と湊が一緒にいたのも直接見ていたし、示談交渉にも関与していて友香さんのことも含めて事情を全て知っていたのだ。あんな噂を聞いて、微妙な心境で居たから、私の事をとても気にかけてくれていたに違いない。

 学校を出たものの、私は湊とまだ一緒に居たくて、夜まで話をして、それでも足りなくて、日曜日の朝から会う約束をした。