思っていたよりも早く突きつけられたその事実に、ただでさえ空っぽだった胸の中をさらにえぐられたような気がした。
「文化祭までなんだ。そっか。良かったね。ほら、去年は……えーと、大変だったじゃん?」
「……うん、確かに大変だった、かな」
うっかり触れてしまった文化祭の事を苦笑いだけで流してくれる美久ちゃんは、去年の事に、普段は全く触れない。腫れ物のように扱われがちな私に、普通に話してくれる。
三角関係とか、四角関係だとか、色々言われていたけれど、きっと私の知らないところでは、もっと酷いことを言われているのも想像に難くなかった。
美久ちゃんは、一体どんな噂を聞いたんだろう。
「ねぇ、ちぃ。ちぃのとこは?部活の引退いつ?」
美久ちゃんが唐突に前の席の茅ヶ崎さんに声をかけたので、私は身構えた。
桜庭くんから怖いと聞かされていたのもあって、私はサッカー部のマネージャーをしている茅ヶ崎さんがちょっと怖い。ハッキリしていて、凛としていて綺麗な人だと思っている。でも、武田と桜庭くんと変な噂が出回ってしまったから、サッカー部で私はどんなふうに思われているのかを思うと怖くて、くじ引きで席が前後になったにも関わらず、1度も茅ヶ崎さんの目を見ることも出来ずにいる。

