私はその噂の中で桜庭くんに真実を確かめに行く勇気はなかったし、わざわざ確かめに行かなくても、桜庭くんが私のクラスに来ないのだ。つまり……もう、桜庭くんは私と会うつもりがない。そういうことなんだと思う。

 何より、桜庭くんに寄り添ってあげることも出来なかった私の事なんて、きっともう……桜庭くんは、好きだなんて思っていない。

 同じ学年でも私はB組で、桜庭くんはG組で、教室も離れていて普段の学校生活では接点がほとんどない。私と桜庭くんは顔を合わせることが無いまま、冬休みになった。

 冬休み明けの学年集会の時。私は久しぶりに桜庭くんの姿を見つけた。だけど、私に気づいた桜庭くんは少しだけ寂しそうな顔をしたものの、一緒に居た友達に話しかけられるとそのまま私に背をむけて、私の視界に入らないところへ消えてしまった。

 改めて桜庭くん本人から突き付けられた恋の終わりは、痛くて痛くてどうしようもなくて、それ以来、私は部活の時以外 桜庭くんを探せなくなった。