***
気がついた時、私の傍には保健医の狭山先生が居た。そして、階段の高い天井ではなく、もっと低い位置に蛍光灯の灯りが見える。
ここは、保健室だ。
他には誰もいない。桜庭くんの姿も、友香さんの姿も、どこにも無かった。
「瀬川さん? 気づいて良かった。もう救急車呼んじゃったけど。もうすぐ着くと思うから無理して起きないで」
そう言われたけれど私はベッドの上に身体を起こした。
「瀬川さん?大丈夫? 痛い所を教えて?」
狭山先生が私を覗き込んで来たけれど、痛いところなんて沢山ありすぎて分からない。階段を転がり落ちたから、身体中がどこもかしこも痛い。1番最初にぶつけた後頭部は熱くて、ズキンズキンと脈打つ様に傷んでいた。
だけど、どこよりも。胸の奥深くが痛かった。
「瀬川さん、頭はぶつけた? 」
「はい……」
「やっぱりこのまま病院に行きましょう」
狭山先生が、担任の後藤先生に電話をしている間、私は記憶を辿る。
書道室に行ったら友香さんがいて、話をして……。あの時、桜庭くんが、手を伸ばしてくれていたのに、私の手は届かなかった。
気がついた時、私の傍には保健医の狭山先生が居た。そして、階段の高い天井ではなく、もっと低い位置に蛍光灯の灯りが見える。
ここは、保健室だ。
他には誰もいない。桜庭くんの姿も、友香さんの姿も、どこにも無かった。
「瀬川さん? 気づいて良かった。もう救急車呼んじゃったけど。もうすぐ着くと思うから無理して起きないで」
そう言われたけれど私はベッドの上に身体を起こした。
「瀬川さん?大丈夫? 痛い所を教えて?」
狭山先生が私を覗き込んで来たけれど、痛いところなんて沢山ありすぎて分からない。階段を転がり落ちたから、身体中がどこもかしこも痛い。1番最初にぶつけた後頭部は熱くて、ズキンズキンと脈打つ様に傷んでいた。
だけど、どこよりも。胸の奥深くが痛かった。
「瀬川さん、頭はぶつけた? 」
「はい……」
「やっぱりこのまま病院に行きましょう」
狭山先生が、担任の後藤先生に電話をしている間、私は記憶を辿る。
書道室に行ったら友香さんがいて、話をして……。あの時、桜庭くんが、手を伸ばしてくれていたのに、私の手は届かなかった。

