今年、私たちのクラスではタピオカドリンクを出している。裏側を覗くと、ちょうど裏に来ていたクラスメイトと目が合った。
「とわ。休みじゃなかったの?」
「今日は、先生方と色々話したりしてて……。もう帰っていいって言われてはいるんだけど。ごめんね……なんか、文化祭なのにみんなに迷惑かけちゃって……」
「大丈夫。変なイタズラなの、多分みんな分かってるし。でも、動画見たって話しながら来る人も居るから、早く帰った方いいかも。とわは……顔でてないから大丈夫かもしれないけど」
「……あ、うん。わかった。ごめんね」
短く会話を終えて外に出ると、ほんの1、2分の筈なのに、桜庭くんが他の学校の子と思われる女の子3人に囲まれていた。この短時間でまさかの逆ナンされているなんてイケメン恐るべし。でも、桜庭くんをどこかに連れていかれちゃったら困るし嫌だし、でもどうしたらいいのか判らなくて眺めていると、私に気づいた桜庭くんが私の名を呼んだ。
「終わってたなら声かけてよ」
助けてよ、と言外に言いながら、桜庭くんは、女の子達を「連れ来たから」と軽くあしらって私の方に歩いてくるけれど、桜庭くんを囲んでいた女の子達の不満げな視線が私にグサグサ刺さる。うん、そりゃあ、桜庭くんの連れとしては、私は役不足だよね。

