学校に着いて、そのまま職員室に顔を出した。瀧先生に声をかけると「桜庭、今日も一緒か」と微かに笑う。

「とりあえず、書道室で作り直しをしてきて、ここに持っておいで。書道部には僕が置きに行くから。その後、少し話を聞かせてもらってもいいかな?」

「わかりました」

 あの動画のことを聞かれるんだ。そう思うと、心拍数が早くなる。一晩考えたけれど、やっぱりあの動画を投稿する人に心当たりらしい心当たりなんてなかった。

「で、桜庭。今日は瀬川と居てもかまわないのか?」

「一緒に居るつもり、でしたけど」

 何か問題でも有りますか? とでも言いそうな、ちょっと不機嫌な桜庭くんの返事を瀧先生が笑う。

「別に追い払おうとなんてしてないよ。誰かと一緒にいる方がいいと思ってたから、確認しただけで。じゃ、桜庭、瀬川の事頼むな」

「了解、です」