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夜、私の親に改めて事情を説明する電話を瀧先生がくれた。
「瀬川、もしも体調とか大丈夫なら明日少しだけでも来てみる気は無いかな? 瀬川は、書いてるもののストックもあるから、展示、新しく作り直せるんじゃないかって森下に言われてね。 確かに、最もだなと思って。瀬川、最近色々書いてたのに勿体ないし。どうかな?」
羽純、気にしててくれたんだ。そういえば、今日は、羽純に会わないまま帰ってきてしまったのを思い出す。
「明日、書道室は開けておくから、好きな時間で、来れそうだったら程度に考えてみて。無理はしなくていいよ」
「……はい」
瀧先生との電話を終えて、少し悩んでから桜庭くんに電話をかけた。
「とわ?」
「桜庭くん、今、電話大丈夫?」
電話の向こうで、「大丈夫だよ」と桜庭くんが笑った。
「とわから掛けてくるの、珍しい」
桜庭くんからの電話に出られなかった時にかけ直すことはあっても、私からかけるのは確かにあまり無かった。
「あのね、一人でいたらちょっと……気が滅入っちゃったから……」
桜庭くんや若菜と話せた午前中の方が、ずっと気持ち的に楽だった。一人で居ると聞こえないはずなのに色んな声が聞こえる気がして、かえって不安になってしまっていた。だからってリビングに居ると親が気を使ってくれるので、それはそれで居心地が悪くて。
誰かと話して安心したいと思った時に、一番最初に浮かんだのは、桜庭くんだった。