「とわがこんなことされる理由、確かに思いつかないし。俺絡みって言われた方が納得いくし。ただ、誰かまではちょっとわかんないけど。多分、俺のせい。ごめんね」
「……でも」
「だから、ちゃんと傍に居るよ。俺絡みなら尚更。俺が傍に居るのに何かしたりしないでしょ。それに……」
「それに?」
桜庭くんは口元に笑みを浮かべて、私の目元を指先で軽くなぞる。
「泣いてるとわ、他の奴に任せたくないし。職員室、そろそろ行こうか」
桜庭くんに促されて、私は頷きかけて「ねぇ」と桜庭くんに声をかけた。
「桜庭くん、職員室行く前に、もう1回ぎゅうってして貰ってもいい?」
桜庭くんは一瞬フリーズした後に、私の腕を強く引いて私を胸に抱き寄せると、苦しいほどに強く抱き締めてくれた。
「んー、困ったな。こんな状況なのに、とわにおねだりされたのが嬉しい」
それ、言わなきゃいいのに。と、私は笑ってしまう。
「ごめんね。ちゃんと、守るから」
「ありがとう。でもね、朝から色々あってびっくりしたけど、意外と大丈夫っていうか……思ってたより、元気っていうか……」

