書道部にいても、同じ。あの場で、館山くんに動画の話をされたら見ずには居られなかったはず。あの中で見たらきっと、周りの雑音に耐えられなかった。
「とわ、落ち着いたら職員室に行こう。来たら連れてくって、遠藤さんと約束してる」
私の身体は、桜庭くんの腕の中にすっぽりと包み込まれた。
桜庭くんの腕の中は、温かくて安心して、頭の中で響き続けていた色々な声が、ようやく聞こえなくなった気がした。
私が泣き止むまで、桜庭くんはずっと私の事を腕の中に居させてくれた。
「桜庭くん」
「ん?」
「私、もう1人でも大丈夫だよ。クラスも、サッカー部も行かなきゃ行けないでしょ?」
「大丈夫。今日はどっちも行かないって言ってある」
静かに答えて、桜庭くんは私の頭を優しく撫でる。
「ごめんなさい」
「なんで? とわのせいじゃないよ」
「私のせいだよ」
「違うよ。さっき、書道部の先輩に言われたのが、多分正解」
さっき、書道部先輩に言われたのって……
遠野先輩の言ってた事? 「桜庭くんのせいじゃないの?」って。

