スイート ジャッジメント【番外編、別視点公開しました】


 ボスッともズボッとも聞こえる、鈍い音と共に、私の書にその切っ先がめり込んだ。そして、何度も、何度も執拗に、刺して、抉られて、引き裂かれて……画面の中で私の書は見る間に無残な姿に成り果てて行く。

「フフッ」と笑い声が画面から響いてきて、私の心臓は竦み上がった。

 私の書を抉りながら、笑い声がまた画面から響く。楽しそうにすら聞こえる笑い声を響かせながら唐突に動画は終わり、画面にはもう一度再生しますか? という文字が表示された。

「……とわ」

 桜庭くんにティッシュを差し出されて、ボロボロと涙を流していたことに気がついた。

 ただの書だけど、一緒に私の心を抉られたように、胸の奥が重苦しく、痛かった。

「学校で削除依頼出したから、遅くてもお昼には消えると思う」

 答えようとしても、しゃくり上げる声しか出なかった。

 桜庭くんがずっと落ち着いていたのは、第1発見者で、先生にも報告して、若菜の話も聞いていて……と状況をかなり把握していたからなんだ……。

 きっと1人であの動画をみたら、私はパニックになっていただろう。

 奪ってはいないけれど……私が間接的に、若菜と武田を別れさせてしまったと言うのも、若菜は違うって言っていたけれど、本心は……分からない。そういう変な関係は無かったけど、二人とも、たくさん私の事を心配してくれてた。