「朝、俺らが準備してる時に、1年が怖ぇ動画回ってきたって騒ぎ出したんだ。その時はまだ、制服でうちの学校だって分かったから拡散してきただけで、少なくともうちの書道部で今日起きた事だと思ってる奴はいなかったんだよ。少なくとも、校内には。
知らない奴が見ても、あれが今日展示されてるとわの作品だなんて分かんないからさ。ただ……俺は、とわが書いてるの何度も見てたからすぐ分かったけど。
速攻で武田が遠藤さんに連絡して、俺は1-Bに現状確認しに行って……で、遠藤さんが騒ぎに巻き込まれる前に職員室連れてったの。
なのに肝心の とわ がさ……。何回かけても電話出ないからマジで焦った……」
疲れた様子で額を抑えて桜庭くんは息をついた。
桜庭くんが朝一で私を捕まえたのは、私を守るため。
私が変な話を聞かないように、パニックになっている書道部に行かないように、好き勝手な言葉が飛び交う場所に私を晒させないようにする為だったんだ。

