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保健室には誰も居なくて、桜庭くんは私をソファーに下ろして、自分も私の隣に座った。まだ、自分の身体に力が入らなくて、自分の物じゃないような気がする。
「とわ、大丈夫?」
静かなはずの保健室なのに、私の頭の中では1-Bで聞こえてきたたくさんの声がいまだに響いていた。
友達の彼氏を取ったとか、寝取ったとか、二股とかなんだか色々聞こえた気がする。 あれは全部、私の事 なの?
「桜庭くん、知ってたの?」
「……知ってたっていうか、サッカー部、大所帯じゃん。動画、回ってくるの早かった」
「動画って……何? 誰が写ってるの?」
さっき、動画の子がどうとか、言っている人がいた。
「動画ってのは、さっきの犯行真っ最中のやつ」
そんな答えを考えてもいなかった私は、絶句するしかなかった。
「とわ。順序だてて話すから、聞いて」
桜庭君は、ゆっくりと話し始めた。

