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 サッカー部の大会が終わったら直ぐに期末考査の試験期間になった。試験期間は、中間考査の時と同じように、桜庭くんと二人で下校時間まで勉強をした。そして、期末考査が終わるとサッカー部の練習は延長されなくなって、桜庭くんは、また部活の後に私のことを書道室まで迎えに来てくれるようになった。

 完全下校時間までそんなに時間はないけれど、私と桜庭くんは、書道部のみんなが帰った後の書道室で他愛のない事を話して過ごす。

 桜庭くんは、何となく雰囲気が変わった。

 上手く言えないけれど、憑き物が落ちた感じというか、なんだか……自然になった。今までがどう不自然だったのかは分からないんだけど……、何となくそんな気がしていた。

「そういえばさ、これどういう意味?」

 桜庭くんは、私が書いた書を眺めながら言った。

「思へども験《しるし》もなしと知るものを なにかここだく我《あ》が恋ひ渡る」

 私は何度も書いたそれを空で読み上げた。

「どんなに想っても脈がないと分かっているのに、どうしてこんなに好きなんでしょう……って感じだったかな?」

「……」

「桜庭くん?」

 見れば、桜庭くんがガックリ項垂れて机に伏せていた。