予定時間より少し早く、待ち合わせ場所に向かう。場所は駅前広場のベンチだった。

 どんな顔をして、どんな風に声をかければいいだろう。家から待ち合わせ場所までの間考えていたが、答えはでず。とうとう辿り着く。

 伊達と待ち合わせですれ違っていたことが忘れられず、剣淵も遅れてくるのかもしれないと覚悟していたが、既に剣淵は着いていた。

「……お、おはよ」

 緊張から声が裏返る。ぎこちなく手をあげて挨拶をしてみたのだが、剣淵は不機嫌そうに眉を寄せたまま、佳乃をちらりとも見ず「おう」と短く答えた。

「八雲さんとの待ち合わせって前と同じレストラン、だよね?」
「……行くぞ」

 佳乃から見て、剣淵は怒っているようだった。やはり昨日のことを目撃したからなのだろう。
 やはり早く呪いについて明かさなければ。八雲との話が終わったら、剣淵と向き合おう。改めて誓い、佳乃を無視して先を歩く剣淵を追いかけた。