俺は、新城 葵威。俺が、初めてこの素晴らしいスポーツに出会ったのは、兄がきっかけだった。

俺の兄は、俺の1歳上で、当時中一だった。
兄は先輩を上回るほどの上達で、先輩を越してしまったらしい。
「葵威、お前も中学入ったら、バスケやろーぜ」
「ばすけ?何それ...?」
小六の俺は、バスケしら知らなかった。
「ボールを、ネットに入れる競技だよ。」
「え、そんだけ?」
「今度、試合あるから、見に来いよ。友達連れてさ。」

よく分からなかったけど、とりあえず、行ってみよう!

そして試合の日。
「ちょっと、葵威!?どこ行くのよ!?」
「いーから、いーから。」
と、姉の咲菜を連れてく、俺。

どうやら未だ試合は、始まっていないらしく、ちょこちょこ人が集まってるくらいだ。
「ねー!岩山中の、新城!やばいらしいよねー!」
...え?岩山中の、新城...?
「そうそう!まだ1年生なんだって!しかも初心者!あのプレイは神だよねー...。」
...そんなに凄いのだろうか...?
「岩山の新城って楓馬のこと?」
「多分ね、わかんねぇーけど。」

そして、岩山中のメンバーと相手のメンバーが出てきた。

と、同時に声援が響き渡る。

「凄い声援ね...。」
「姉ちゃんも、試合見るの初めて?」
「そう言われればそうね...。」

どれだけ凄いのか、よく見ないと!!!

「げっ、あいつ、スタメンじゃん」
「岩山の1年だろ?あいつバカくそプレイ上手らしいな。」
「見物だぜ」

なんて声が飛び交う。
「兄ちゃん!頑張って〜!」
と、叫ぶとこっちを振り返り、ぐっとポーズを決める兄。
「えー誰にやってるの?」
「あんな人いたっけー?」
...いや、弟ですが?とは思いつつも、あえて口には出さなかった。

そんなこんなで試合が始まった。全くルールも知らず、ただ兄だけを見ていた。

どれだけ凄いのか、どれだけ活躍してるのか…それすらも全くわからず。

ただ1人だけ運動量が明らかに違うのだけは、全く知らない俺にも届いた。
たまにこっちを見てニコっとしてくれる。それだけ兄は俺に試合を見て欲しかったのかな...?

そして、あっという間に試合が終わった。
72対35で圧勝だ。

「やっぱすげー!」
「だよなー俺らの学校にも欲しかったよな、強いやつ。」
なんて呟く声がする。

兄が楽しむのも分かるかもしれない。
そして俺はバスケットボール、通称バスケ部に入ることを決めた。

それから一年後。俺は、バスケ部に入部した。
「新城 葵威です。初心者で何もわからない人ですが、頑張って強くなろうと思っています、よろしくお願いします!」
「よっ、葵威。」
...と、兄がすかさず話しかけてくれた。
「あれ?お前ら知り合いか?」
と、身長高めな先輩?が話しかけてきた。
「いえ、兄弟ですよ、佐々木先輩」
「おお、そうか。ごめんな、葵威くん」
と、頭を撫でてくる先輩。
「大丈夫です!」

それからドリブルからの基礎練が始まった。目の前で行われてる、2年生対3年生の試合が凄い。
「楓馬マークしろ!」
「はいっ!」

「凄いよな、楓馬先輩。」
と、隣でドリブルしていた、赤野 修哉が話しかけてくる。
「絶対に、兄みたいに強くなってやる。」
「そっか、兄さんなのかー!羨ましいな。」

「先輩!ちょっと休憩いいっすか?」
「お、おう、何するんだ?」
「ちょっと1年の練習の手伝いッスよ、先輩」
「そ、そうか。ありがとな」

...兄さん、後輩思いなんだな。
ちょっとテキトーだけど...(笑)