中学1年生。
俺は特にやりたいことが見つからなかったから、友達に誘われてバスケ部に入部した。

入ってみると、正直楽なことばかりじゃなかった。先輩も怖いし、何せ自分は初心者なのに、校内戦で先輩達に勝ってしまったから。
そのあとの先輩の目は怖かった。でも期待の新生だ、と部長の先輩は言ってくれたんだ。

それから俺は練習で頑張って、3年生の最後の試合に、試合で活躍することが出来た。

きっとこの頃から、俺はバスケが大好きになってたんだ。

中学2年生。
弟の葵威がバスケ部に入りたいと言った。
俺はもちろん大歓迎だった。兄である俺に何か出来ること、と言ったらバスケを教えてあげることしか出来ない。

なんでだろう、2年生になってから、葵威にしてあげたい、教えてあげたいっていう気持ちが止まないんだ。

馬鹿らしいけど、自分には、残された時間がない...、そんなことを思うようになったんだよな。

3年生が引退して、俺はバスケ部の部長になった。どうやら先生は俺をエースと見てたらしく、俺以外は部長は居ないと、直接言われたくらいだ。
今から思えば感謝してる。

葵威にチャンスを与えてやれるから。

中学3年生
あと少しで引退が迫っている。前に、体調を崩した時から、あまり体調が優れない。
でもバスケが出来ないほどじゃないから、家族にも部員にも何も言わなかった。

葵威に言った。
「頑張れば試合出られるから」って。
そしたら葵威のやつ本当に出られて。なんか、嬉しかったんだよな。

この頃、俺に彼女が出来た。その子は俺に好きだ、と言ってくれた。
そして俺と彼女は約束したんだ。
「最後まで、諦めない」って。

ごめんな、柚葉。約束したのに守れなくて。こんなダサい彼氏で、本当にごめん。

結局、最後のさかはる戦で倒れて、試合は途中で出られなくなった。

...悔しかった。今まで実力を認められて、俺は精一杯頑張ってきたのに。なのに、神様は、俺に意地悪をするんですね。

意識が朦朧とするなか、俺は涙を流した。