「1年の野村紫蘭です」


「あ、えっと、3年3組の汐野風杏です」


なんで自己紹介してるんだろう。

とにかく、緑河くんに話も聞けたしよかった。


「緑河くん、ありがとね」


「でも、まだ話の途中じゃなかったっけ?」


「いいの、いいの」


すると、緑河くんは私の耳元に顔を近づけてくる。


「風杏、あのこと考えといて?」


「あのことって?」


……だから、デートはしないって言ってるのに。


すぐふざけるんだから。


「じゃあなっ」


「あ、ばいばーいっ」


先に歩きだした緑河くんたちに手を振ると、紫蘭ちゃんがくるっと振り返った。


「さよなら、汐野せんぱいっ」


頭を軽く下げる紫蘭ちゃんに、私は笑顔で手を振る。


やっぱりいい子だ……。


緑河くんに遊ばれてなかったらいいけど。