「もう行ったよな?」 頭の上から伊原くんの声が聞こえて、ドキッとする。 「う、うん」 私の体を抱きしめていた彼の腕が離れ、すぐに私たちはカーテンの中から出た。 伊原くんの顔、どんな顔して見ればいいのかわからない。 緑河くんたちのせいで、気まずいし恥ずかしすぎる。 「その……俺たちも教室戻らないと」 「そ、そうだね。私、先に行くね。誰かに見つかると困るしっ」 「わかった」 彼をその場に残して、私はあわてて図書室を出ていく。 いまもおさまらない胸のドキドキ……どうしてだろう。