心臓がドクンと大きな音をたてた。
一瞬、頭が真っ白になる。
「いま、なんて……?」
「いいかげん気づけって」
「え? え? ええっ!?」
「好きな子にしかネックレスもあげないし、好きじゃなかったら、抱きしめたり、頭にその……キスなんてするわけないだろ」
「そ、そ、それは……夏休み前の、あの夜のことでしょうか?」
「うん」
彼は恥ずかしそうな顔で、頭をかく。
伊原くんの両親が事故で亡くなったことを、私に話してくれた夏休み前の夜。
あの夜のことは、夏休み中もずっとドキドキしていた。
でも、新学期になるまで彼から1回も連絡がなかったし、私の勘違いだと思っていた。
だいぶあとになって夏休み中は、彼がムーンライトのツアーで忙しかったのだと知ったけど……。
「好きだよ、風杏」


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
