私はリュックから、お弁当と水筒、花柄のレジャーシートを取りだした。
砂浜にレジャーシートを広げ、私たちは向かい合って座る。
私がお弁当箱を開けると、彼は満面の笑みを見せてくれた。
「うまそぉ~! さすが師匠」
「今日のお弁当の主役は、のり巻きだよ~」
「わーい! 師匠、いただきま~す」
「ふふっ、師匠って」
初めて彼にお弁当を作ったときのことを思いだした。
図書室で一緒にお弁当を食べた、あのとき――。
『汐野は将来いい奥さんになるな』
『えっ!?そ、そうかな……』
『うんまっ』
『ホントに?』
『マジでうまい!汐野すげぇ』
あのときはまだ、彼に恋をするなんて想像もしていなかった。
あれから今日まで、いろんなことがあったけど、あっというまだった。


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
