クラスメイトの告白。



同じクラスに、東京から伊原理埜くんという転校生がやってきた。


茉雛ちゃんの双子の弟だろうと、名前からもすぐに気づいた。


だけど、私以外に誰もそのことを知らないのか話題にしていないし、伊原くん本人も自己紹介のときに茉雛ちゃんの双子の弟だとは言わなかった。


だから、このことは誰にも言わなかった。


伊原くんは、男女ともに誰かが話しかけてもそっけなく、クラスメイトと距離を置いているような雰囲気だった。


伊原くんが転校してきたのは、入院している茉雛ちゃんのそばにいるためだろうと勝手に思っていた。


伊原くんには、あの日のこと、本当のことを話さなければと思っていた。


だけど、怖くて勇気が出せなかった。


本当のことを話せば、学校のみんなにも知られることになる。


私のせいで茉雛ちゃんが転落したことを知ったら、責められて、またいじめにあうかもしれない。


先輩にいじめられていたころのような日々に、また戻ってしまうにちがいない。


そう思ったら、怖かった。