『どうして、ここに……?』
茉雛ちゃんは上履きのまま、積もった雪に埋もれながらも、必死にこっちに向かってくる。
足……冷たいだろうに。
『図書室の窓からのぞいたら、誰かが屋上に立っているのが見えたの。音ちゃん、どうしてそんなとこに立ってるの? 危ないよ、早くこっちに』
茉雛ちゃんは、柵の向こうから私に向かって手を伸ばした。
私は首を横に振る。
『音ちゃん?』
『もういいの。死にたい』
『そ、そこから飛び降りるつもり?』
私はうなずく。
『待って、お願い』
私は首を何度も横に振る。
『落ち着いて、音ちゃん。お願い、話をしよ?』
『……っ』
『どうして? どうして死にたいの?』


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
