クラスメイトの告白。



ズボッ、ズボッ、私の足が深く雪の中に沈む。


足が凍りそうなくらいに冷たい。


屋上の柵に向かって、歩いていく。


立ちどまって振り返ると、雪に残る私の足跡。


ほかに何も考えられない。


もう限界。


消えたい。


雪のように溶けて、なくなればいい。


私も、私の心も、ぜんぶ……消えちゃえばいい。


柵をこえて、屋上のふちに立った。


すると、ふちにつもっていた雪がドサッと下に落ちた。


私は目をとじる。


下のほうから窓が開いた音が聞こえたけど、ほとんどの生徒はすでに下校している。


誰も立入禁止の屋上に私がいることなんて、気づきはしない。


このまま誰にも気づかれず、私は雪のようにとけて消える。


楽器が好きだった。


演奏するのが好きだった。


中学生のころからずっと、たったひとつの私の好きなもの。


これをなくしたら、もう私じゃない。


大好きなものを嫌いになりたくない。


先輩のせいで、私が壊れてしまいそう。


それとも、もう……壊れてるのかな。


もう楽しく楽器を演奏すること、できないのかな。


学校にいると、息が苦しくて、どうしようもない。


家に帰っても、眠れないし、ごはんも食べたくない。


毎日つらいから、もう死んじゃいたい。


これ以上、生きてても、苦しいだけだから。


目を開けたら、飛び降りよう。


雪のように消えて、なくなろう……。


そのとき、屋上のドアが開く音とともに、女子生徒の声が聞こえた。


『なっ、なにしてるの!?』


振り向くと、1年生のときに同じクラスだった白石茉雛ちゃんが息を切らして立っていた。