私たち3人は、病院の中庭にやってきた。
誰もいない静かな場所だった。
空には無数の星が輝き、白い満月も浮かんでいる。
まるで私たちを見守っているかのような優しい月の光だった。
芝生の上に伊原くんが座り、私も隣に腰をおろした。
音ちゃんは、私たちと向かい合うように芝生の上に座ると、うつむく。
病室で涙を流していた音ちゃん。
いまも涙を腕でぬぐい、鼻をすすりながら泣いている。
音ちゃんは声を震わせながら、ゆっくりと話しはじめた。
「怖かったの……本当のことを知られるのが、ずっと怖かった……」
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