「茉雛ちゃんと同じクラスだった1年生のときね、席が近かったんだ。茉雛ちゃんが席を立ったときにスマホを床に落としたことがあって私が拾ったの。そのとき、ちょうど着信があって画面に“りの”って。そのとき茉雛ちゃんから、双子の弟が東京で暮らしてるって聞いた。男の子でめずらしいし可愛い名前だなって印象的だったから覚えてた」
「じゃあ、俺が転校してきたときから?」
「うん。茉雛ちゃんと名字が違うけど、東京から転校してきたって言ってたし、男の子で“りの”って名前もそういないと思ったし、たぶん伊原くんが双子の弟なんだろうなって……だけど、話しかけられなかった」
「まあ、いい。あとできく。とりあえず会いたいんだよな? 茉雛に」
「うん」
音ちゃんは、いまにも泣きだしそうな顔でうなずいた。
伊原くんが先に歩きだし、病院の中へと入っていく。
私と音ちゃんも、伊原くんのあとをついていく。
伊原くんと白石さんが双子の姉弟……!?
彼氏彼女じゃなかったの!?


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
