クラスメイトの告白。



そこに立っていたのは、クラスメイトの音ちゃんだった。


「灰谷……」
「音ちゃん……」


ベンチから立ち上がった伊原くんと私は、沈んだ表情で立っている音ちゃんを見つめる。


音ちゃんは、黄色とオレンジのガーベラが美しい花かごを、胸の前で抱えていた。


そういえば、前にも花かごを持った音ちゃんが、この病院の前を歩いているのを見かけた。


たしか、私が黒河内先生の車に乗っているときだったと思う。


白石さんが入院しているこの病院に、音ちゃんの知り合いも入院していて、お見舞いに行ったのだと思っていた。


音ちゃんが誰のお見舞いに行ったのか、あとで聞こうと思っていたけど、あれからいろいろなことがあって、すっかり忘れていた。


音ちゃんに、伊原くんと話していた内容を聞かれてしまったみたい。


それに、音ちゃんが言った“ぜんぶ話すから”とは、いったいどういうこと?