「茉雛の事故が起きたとき、屋上に誰かがいたってことか」
伊原くんの言葉に、私はうなずく。
「屋上は立入禁止だけど、私たちも一度行ったよね?」
「あぁ……前、昼休みに……あ、あのとき!!」
「そう、思いだした? 屋上で白石さんの事故のことを話してる私たちのことを、屋上のドアから誰かがこっそり見てたことあったよね」
「そいつと、事故の当日に屋上にいたやつって、もしかして同じ人物?」
「わかんない……でも、私たちが事故について調べてることを知ってて、屋上で話してたときも隠れて私たちを見ていたなら、その人が白石さんの事故について何か知っているかも……」
「俺たちが屋上にいれば、そいつがまた様子を見に来るかもしれないってことか」
「うん」
「あのドアから行ける屋上は、ちょうど図書室の真上だもんな。事故のとき屋上にいたなら、茉雛の声とか下から聞こえたかもしれないし……」
「それか、もし屋上の柵の近くにいたなら、上から事故の瞬間を目撃してるかもしれない」


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
