クラスメイトの告白。



事故が起きる数日前、廊下で泣きながら誰かと電話していた白石さんを、緑河くんが目撃している。


その電話の相手は、白石さんのスマホの着信履歴にあったように、赤西さんだった。


白石さんと赤西さんが電話で話した内容も、赤西さんから聞いた。


「赤西さんは不登校になった理由を、白石さんにだけ打ち明けていたみたい。白石さん……赤西さんの話を聞きながら、ずっと電話越しに泣いてたって」


「そうなると、茉雛が赤西との電話を切ったあと緑河に言った“戦わなきゃいけない相手”っていうのは、たぶん黒河内のことだろうな」


「うん」


白石さんは、赤西さんが不登校になった理由、赤西さんの身に起きたことを知って、泣いていた。


黒河内先生の罪を暴いて、赤西さんを助けたいと思ったにちがいない。


黒河内先生におびえていた赤西さんは、何もしないでほしいと白石さんに電話で言ったという。


でも、赤西さんとの電話を切ったあと、白石さんは緑河くんに“戦わなきゃいけない相手がいる”と言っていることから、白石さんは黒河内先生と戦おうとしていたのだと思う。


白石さんがどんなことを考えて、先生とどう戦おうとしていたかまではわからない。


その数日後の12月24日、白石さんの転落事故が起きてしまったからだ。


伊原くんがうちの高校に転校してきて、白石さんの事故について私たちが調べなければ、黒河内先生の罪は隠されたまま、赤西さんは学校にもほとんど通えず、いまも苦しみ続けていたかもしれない。


白石さんが目を覚まして、このことを知ったら、きっとホッとするだろう。


それとも、眠り続けている白石さんに報告したら、目を覚ましてくれるかな。


白石さんに、届くといいな……。