「赤西さんが図書室に行ったとき、白石さんと緑河くんはいた?」
赤西さんは首を横に振る。
赤西さんが図書室に行ったとき、白石さんと緑河くんがいなかったということは、すでに事故が起きたあとだよね?
赤西さんが嘘をついていないなら、時間が合わない。
黄島さんと、赤西さんのどちらかが嘘をついてる……?
だけど、ふたりが嘘をつく理由なんてないし……。
「あ……! もしかして赤西さん、図書室に行く前にどこか寄った?」
「えっと……うん。学校に着いてすぐに階段で後輩の図書委員の子とすれちがって……」
後輩の図書委員……黄島さんだ。
「そのまま図書室に向かおうと思ったんだけど、急に吐き気がして2階のトイレに駆けこんだの。不登校になってから体調も波があって……吐いたり、めまいとかもしてきちゃって、たしか20分くらいはトイレにとじこもってた気がする」
黄島さんとすれちがったあと、体調が悪くなった赤西さんはトイレに20分ほどこもっていた。
これで、ふたりの話と時間が合う。
黄島さんが学校を出たあと、そして赤西さんがトイレにいるあいだに、事故は起きた。


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
