「あいつ、最初はね……元気がないとか気にかけてくれたり、話を聞いてくれたり、相談に乗ってくれる優しい先生のフリをしてたんだ。親と関係がうまくいかなくて悩んでたのもあって、あいつを頼りにして信じきってた……」


そんな純粋な生徒の悩みにつけこんだ“悪魔”。


「そのうち学校だけじゃなくて、学校の外でも連絡取り合って、会って悩みとか聞いてもらったりするようになった。でも2年生の冬のある日、あいつと会ってるとき、いつのまにか意識がなくなって……」


コーヒーの中に睡眠薬をまぜて私に飲ませたように、赤西さんにも同じような手口で、あの悪魔は襲いかかったんだ。


「目が覚めたときには、あいつの家の布団の上で服を着てなかった。意識がないうちに裸の写真も撮られてた。あいつ、このことを誰かにバラしたら、裸の写真をネットにばらまくって脅してきて……それから怖くて学校にも行けなくなった」


「ひどすぎる……」


もし伊原くんが助けにきてくれなかったら、私も赤西さんと同じことをされていたはず。


私が、赤西さんが不登校になった理由を必死にさぐろうとしていたから。


あの悪魔は、自分の罪がバレないように、私のことも脅すつもりだったんだ。


ゾッとする。


そんな悪魔のようなやつが、先生をしていたなんて。