「汐野さん、このまえはごめんね」
「うん?」
「せっかくうちまで来てくれたのに、冷たい態度とって……」
「ううん、全然! いきなり行った私が悪いんだし、あのときはその、私も何も知らなくて、ごめんなさい。その……先生と一緒に来たなんてびっくりしたし、怖かったでしょ」
「あのあと、うちに警察の人が来て、あいつが逮捕されたこと聞いた」
「そっか……」
「汐野さんのことも、転校生が助けてくれたことも聞いたよ。巻き込んでしまって、ごめんなさい」
「赤西さんが謝ることじゃないよ。悪いのはぜんぶ、先生なんだから」
「あいつが逮捕されて、ホッとした。ずっとおびえながら過ごしていたから」
赤西さんは、2年生のときのことを私に話してくれた。


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
