「汐野さん」


くるっと頭だけ声のほうに振り向くと、教室のうしろに制服姿の赤西さんが立っていた。


「あ、赤西さんっ!!」


驚いた私は、思わず席から立ち上がった。


すぐに私は、赤西さんのもとに駆けよっていく。


「赤西さん、学校に来てたの!?」


「今日は、いまさっき来て……先生たちと少し話した」


「そっか、そっか」


「明日からはちゃんと通う」


「本当!?」


「うん」


「よかった……本当によかった……」


私のホッとした表情を見たからか、赤西さんも微笑んでくれた。


「自分の教室に寄って帰ろうと思ったら、隣の教室に汐野さんが見えたから」


「あ、今日ね、日直なの」


「いま……少し話せる?」


「うん! うん! 話そう!」


私は近くの席のイスを2コ引っ張り出す。


私たちは向かい合ってイスに座った。