私が上体を起こすと、伊原くんはベッドの上に座った。
「どうして私、病院に……? そうだ、私……黒河内先生の家で……」
あのときの恐怖がよみがえってくる。
「私……私……なにかされたの?」
「黒河内に、睡眠薬を飲まされたみたいだ」
「睡眠薬……」
だから先生の家に着いてから、急に眠気が襲ってきて頭がボーッとしたり、体に力が入らなかったりしたの?
だけど睡眠薬なんて、いつ飲まされたのだろう。
放課後、先生と話をして、
それから赤西さんの家に車で向かって、
そのあと……もしかして先生の家に向かう途中の車の中で飲んだコーヒーに混ぜてあった?
私が赤西さんに会いに行っているあいだに買っておいたと言っていた蓋つきのホットコーヒー。
それくらいしか、先生から受け取ったものなんてない。
あのコーヒーの中に睡眠薬をまぜておいて、私に飲ませたんだ。
私を先生の家につれていって、私が眠ったら……きっと……。
「私……ほかに……先生になにかされた?」