彼の見た目は、黒縁のメガネをかけていて、もっさりとした黒髪のせいで顔の半分が隠れている。 そのせいか、“暗い”とか“幽霊”と陰で言うクラスメイトもいる。 だけど、さっき話した体育館裏での彼は、顔をしっかりと上げてまっすぐに私を見ていた。 ボソボソと小さな声で話すわけでもなく、普通の声の大きさだった。 態度も、雰囲気も、口調も、声の大きさも、何もかもが普段の彼とは別人のようだった。 私の知っている伊原くんではなかった。 だからいま、とても動揺している。