少しだけ開いたドアから見えたのは、上下黒い服を着た赤西さんだった。


「あ、赤西さん、突然ごめんね」


赤西さんは一瞬だけ目を合わせてくれたけど、すぐにそらされてしまった。


そして、小さな声で私に言った。


「……どうして汐野さんがうちに? このまえもスーパーで追いかけてきたよね」


「あのときも驚かせてごめんなさい。じつは、赤西さんに聞きたいことがあって……このまえスーパーで偶然会ったときも、赤西さんと話がしたかったの」


「だって……汐野さんとは学校でもほとんど話したことないのに、いきなり追いかけられたらびっくりするよ」


「そうだよね、本当にごめんね」


「もういいよ」


「赤西さん……私、最近知ったんだけど、2年生の冬ごろからほとんど学校来てないんでしょ?」


「ときどきだけど……保健室に勉強しに行ってる」


赤西さんは、ずっと暗い表情でうつむきがち。目もほとんど合わせてくれない。


不登校になった理由……聞ける雰囲気じゃない。


「それで、聞きたいことって?」


「……あ、あのね、白石さんのことなんだけど……」