黒河内先生の車に乗せてもらった私は、学校から赤西さんの家に向かっていた。


その途中、白石さんが入院している病院の前を通りかかる。


あれ……?


うちの高校の制服を着た女の子が、道の端を歩いている。


音ちゃん……?


私は車の窓から後方を見つめる。


同じクラスの音ちゃんが、花かごを持って病院に入っていった。


誰かのお見舞いに来たのかな。


白石さんのお見舞いじゃないよね?


白石さんの病室に入れるのは、白石さんの両親と伊原くんだけのはず。


前に私が白石さんのお見舞いに行ったときは、伊原くんと一緒だったから特別に病室へ入ることができた。


でも花かごを持っていたし、誰かのお見舞いだよね?


音ちゃんの知り合いが、白石さんと同じ病院に入院しているのかもしれない。


明日、学校で音ちゃんに聞いてみよう。


「汐野、どうかしたのか? ずっと後ろ見てるけど」


「あ、いえ……なんでもないです」