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黒河内先生の車に乗せてもらった私は、学校から赤西さんの家に向かっていた。
その途中、白石さんが入院している病院の前を通りかかる。
あれ……?
うちの高校の制服を着た女の子が、道の端を歩いている。
音ちゃん……?
私は車の窓から後方を見つめる。
同じクラスの音ちゃんが、花かごを持って病院に入っていった。
誰かのお見舞いに来たのかな。
白石さんのお見舞いじゃないよね?
白石さんの病室に入れるのは、白石さんの両親と伊原くんだけのはず。
前に私が白石さんのお見舞いに行ったときは、伊原くんと一緒だったから特別に病室へ入ることができた。
でも花かごを持っていたし、誰かのお見舞いだよね?
音ちゃんの知り合いが、白石さんと同じ病院に入院しているのかもしれない。
明日、学校で音ちゃんに聞いてみよう。
「汐野、どうかしたのか? ずっと後ろ見てるけど」
「あ、いえ……なんでもないです」


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
