「白石?」


「はい。白石さんの事故があった数日前、白石さんと赤西さんは電話で話をしているんです。どんな話をしたのか知りたくて……」


「たしか2年のとき、赤西と白石は図書委員だったから、委員会のことで話をしたんじゃないか?」


前に聞いた緑河くんの話によれば、事故が起きる数日前、白石さんは誰かと電話をしながら泣いていた。


そのとき、白石さんは“戦わなきゃいけない相手がいる”とだけ、緑河くんに告げた。


事故のあとに見つかった、白石さんの制服のポケットの中にあったくしゃくしゃの紙。


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ウザい
死ね
さっさといなくなれ
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白石さんのクラスで、いじめはなかった。


でも、本当にいじめはなかったのだろうか。


白石さんのポケットに入っていた紙を見れば、そうとは思えない。


白石さんの電話の相手が赤西さんなら、赤西さんにだけ打ち明けた話があるかもしれない。


「とにかく一度、赤西さんと話がしたいんです」


白石さんとの電話の内容も聞きたいけど、赤西さんのことも心配だから。


どうして不登校になってしまったのか。


不登校になる前、黒河内先生にどんな悩みを相談していたのかはわからない。


いま何か苦しんでいることがあるなら、どうにかしてあげたい。


同級生としても、後悔のない学校生活を送ってほしいと思うから。