「黄島さんて、1年のとき図書委員だったよね?」


「そうですけど……」


白石さんの事故が起きた日、何か普段と変わったことはなかったか、ささいなことでも覚えていることはないか、私は黄島さんにたずねた。


事故が起きたのは昨年の12月24日。


9ヶ月近く前のことを思い出すのは簡単ではないこともわかっている。


思いだそうと考えこむ黄島さんの表情からは、なんでいまさらそんなことを聞くのかという言葉が聞こえてきそうだった。