「汐野に今日うちに来てもらったのはさ、これ……」


そう言って伊原くんは、私の前に大きな紙袋を置いた。


「なぁに?」


「プレゼントっていうか、夏休みのおみやげ……かな。汐野にはホントお世話になってるから」


「うそ……ありがとう。中、見てもいい?」


「うん」


紙袋の中には、かわいらしいデザインの箱がいくつも入っていて、クッキーなどのお菓子の詰め合わせや、おしゃれな入浴剤などが入っていた。


「わぁ……こんなにたくさんもらっていいの?」


「何がいいかすげぇ悩んでさ」


「ふふっ、うれしい」


うれしかった。


プレゼントだけじゃなく、私のことを考えて悩んでくれた時間があったことも。


「こんな大雨の中、来てもらってごめんな。天気予報で今日は雨降らないって言ってたのに」


「ううん。あのね、伊原くん。今日ねここに来る途中、うれしい出来事と残念な出来事があったんだ」