そのとき、私のスマホにメッセージが届いた。
伊原くんからだった。
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今日の放課後、予定ある?
何もなかったら、家に来て
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予定?
ないない!
やったー!!
「何かいいことでもあったの?」
音ちゃんの声に、スマホを見つめていた私は顔を上げる。
「え?どうして?」
「すっごい笑顔でスマホ見てたから」
「あ、いや……えーと……」
だって、夏休みのあいだ1度も連絡くれなかった伊原くんからメッセージが来たんだもん。
うれしくて、気持ちを抑えきれない。
連絡が来なくてモヤモヤしていた気持ちとか、寂しかった気持ちとか、一瞬で吹っ飛んでしまった。
「夏休み中に彼氏でもできた?」
「ううん、そんなんじゃないよ」
片想いだって、わかってる。
だけど、好き。
こんな短い文章が送られてきただけでも、心が幸せな気持ちになれるくらい、好き。
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うん、行く!
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私は彼にメッセージを返した。


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
