クラスメイトの告白。



叶わない恋だとわかってる。


彼を好きだと気づいたところで、完全なる片想い。


自分の気持ちを伝えることもできないし、相棒として彼のそばにいることしかできない。


それでも会いたかった。


早く、彼に会いたかった。


「おはよう」


私に声をかけてきたのは、うしろの席の音ちゃんだ。


音ちゃんのほうから挨拶してくれるの、めずらしい気がする。


なんだかうれしい。


「おはよう、音ちゃん」


そのとき、彼が教室に入ってきたことに気づいた。


夏休み前と変わらずモッサリとした黒髪のカツラをかぶり、黒縁のメガネをかけて変装をしている伊原くんだった。


彼と目が合い、ドキッとした。


すぐに彼は視線をそらし、自分の席につく。


今度は胸がズキンと痛んだ。


久しぶりに会えて、うれしいのに。


早く話したいのに、それさえできない。


私たちの関係は、夏休み前から何ひとつ変わっていない。


それでも、彼の姿を見ることができてうれしかった。