クラスメイトの告白。



私はトイレを済ませて、再び白石さんの病室に向かった。


病室のドアが少しだけ開いていて、中から明かりがもれている。


私は廊下から、中の様子をこっそりのぞいた。


白いベッドの上に横たわり、意識が戻らないままの彼女。


そのそばで、彼女を悲しそうに見つめる伊原くん。


「茉雛」


彼は彼女の名前を愛おしそうに呼ぶ。


「いつまで眠ってるんだよ。もう半年も過ぎたんだぞ」


彼は彼女に向かって、優しい声で話しかける。


「茉雛……目を覚ましてくれよ」


彼の気持ちを考えると、苦しくてたまらない。


「俺には茉雛しかいないんだから」


……伊原くん。


“俺には茉雛しかいないんだから”


「……っ」


私は廊下の壁にもたれた。


吐き出した息が震える。


上を向いて必死に涙をこらえようとしたけど、ダメだった。