クラスメイトの告白。



バスに乗って数十分、白石さんが入院している病院にやってきた。


病院の受付で、白石さんの病室に行くために面会の申し込みをする。


渡された用紙に自分の名前などを書いていると、先に書き終えた伊原くんは、スッといなくなる。


伊原くんの姿を目で追うと、彼は階段を下りてきた中年女性のもとに歩いていった。


「理埜くん」


「おばさん、帰るところ?」


ふたりは親しげな様子で立ち話をしている。


あの女性は、おそらく……。


私は用紙を書き終えて、伊原くんのところへ歩いていく。


その女性は、伊原くんの肩にそっと手をおいたあと、病院の出口に向かって歩いていった。


「伊原くん、いまの女性って……」


「茉雛のお母さん」


「じゃあ白石さんを施設から引き取ったっていう……」


「そう、あの人と旦那さん。茉雛が事故で入院してからも、毎日病院に来て世話してくれて、おばさんたちもつらいはずなのに俺のことも気にかけてくれるんだ」