「あ、そういえば今日の放課後ね、音ちゃんと赤西さんの話したんだ」
「灰谷と?」
「うん。音ちゃんも、赤西さんが学校に来てないこと心配してる。あまり親しくはないみたいだけど、1年と2年のとき、音ちゃん赤西さんと同じクラスだったんだって」
「赤西ありさが不登校になった理由、灰谷に聞いてみたか?」
「もちろん聞いてみたけど、わからないって……」
「そっか……。夏休み明けには学校に来るといいけどな。保健室にはたまに来てるみたいだし」
「そうだね」
そのとき、バスが走ってくるのが見えた。
私たちはベンチから立ち上がる。
白石さんが泣きながら電話していた相手は、赤西さんなのだろうか。
それとも、着信履歴には残っていない、他の人物なのだろうか。
白石さんは、いったい誰と戦おうとしていたのだろうか。


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
