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その日の夕方、私は自宅から食材を持っていき、伊原くんのアパートでカレーとサラダを作った。
「汐野がインド人だったとはな」
「いや日本人ですけど」
「こんなうまいカレー食ったことない」
「またまた~褒めるよね~」
「本気で言ってる。インドに修行にでも行ったんじゃ……?」
「私まだ17歳ですけど」
「これからカレー師匠って呼ぶわ」
「呼ばなくていいから」
ウィンナー職人からカレー師匠になったらしい。
あだ名といいつつ、ほとんど呼ばれたことないけど。
「おかわりしていい? カレー師匠」
「さっそく呼ぶんだ。弟子になる?」
「この味は俺には生み出せないよ」
「レシピ覚えれば誰でも作れるって」
「いや無理」
「ふふっ、とにかく口にあってよかった。まだ残ってるから、食べて」
「やった~」


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
